北方遠信基地

絵・バイク・旅の記録

甲信越ツーリング③

前回のあらすじ 上田市南西の巣栗キャンプ場で一泊。

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 夜中に雨が降りましたが朝は快晴。昨日からテントなどが乾かず非常に重たいのですが、さっそく山を登って道の駅美ヶ原高原美術館へ向かいます。

 天気も良いし空いてるし、最高の気分だぜぇ~!

 美ヶ原高原美術館はライダー的名所のひとつビーナスラインの終点にある道の駅です。今回はビーナスラインを通らず、いわば裏口から美術館に入ったわけですが、ここから先はビーナスラインを下っていきます。

 下界は雲海でよく見えないぜ!

 薄暗い登りの路面は濡れていましたが、朝9時をまわってこの美術館から先はしっかり乾いています。ばっちりだ。美術館から出るとすぐに尾根の草原を走る箇所、つまりはビーナスラインのうま味の部分があります。距離は短いですがこの草原のために来る価値は十分あります。

 途中の展望台(無料)でひと休みして写真を撮っていきます。

 天候に恵まれ、実にさわやかです。

 続く下りコースは厳しい急坂ワインディングであまりおもしろい感じではなかったです。途中でツーリング人生初の鹿を見かけました。

 

 峠道を下りきり、諏訪へ入って諏訪大社下社・春宮に到着。

 諏訪には上社・下社、それぞれ2種ずつ計4つの諏訪大社があります。なんでそんなにあるのか疑問に思いつつ、とりあえず下社春宮を見ておきます。ちなみにすぐ隣に下社秋宮もありますがここはスルー。

 春宮は、作りは立派ですがやや小さめです。横にはテレビで見たことがある御柱が立ててありました。御柱はわりとあちこちにあるようです。

 春宮を出て街中を抜け、諏訪高島城へ向かいます。諏訪はなんとなく海辺の、浜に向かってだんだん低くなっていく港町のような雰囲気を感じます。

 高島城はゆるきゃん△のアニメEDでも一瞬登場しており、志摩先輩が立ち寄っていました。再建された天守は碧い銅板瓦とベージュの下見板張りの色合いがオシャレです。
 縄張りは、前方は石を高く積み水堀もあって堅固、背面は石垣が低く簡素な作りです。城内は池と神社(ここにも御柱がある)、公園があります。城郭の防御構造としての見どころはありませんが、写真映えが強い。推しです。

 

 再建天守内の展示では諏訪の歴史を学ぶことができます。軽くまとめると

 日本神話において、タケミカズチに負けたタケミナカタは諏訪に封じられ、この地の神として祀られることになった。タケミナカタを信仰する神社は下諏訪と上諏訪に分かれて対立。両者の争いでは武田勢も交えて何度か血を流しつつ、最終的に徳川方についた上諏訪がこの地を治めた・・・とのこと。

 山の中に突然現れる諏訪湖はとても神秘的な形でありますし、諏訪湖自体が御神渡りという神秘現象を毎年起こすものですから、信仰を集めるのも無理からぬことでしょう。展示を読む限り、その神秘性のために争いが起きていたように感じられ・・・美しいだけならまだしも、神秘的な景色というのは人間にとってあまり良くないかもと思う次第です。

 諏訪と武田との繋がりは深く、信玄公が諏訪を信仰していたこと、信玄公の子・勝頼は一度この諏訪の神主(大祝)を継ぐ者として養子に出されたが、嫡男が没したため武田に戻ったことなどが挙げられます。

 天守からの眺め。諏訪湖が見えます(1枚目)。

 城郭の外縁は水堀と大きな再建門。内部は池と神社、公園とかがあります。

 次に諏訪から西の峠をひとつ越えた先の高遠城へ向かいます。高遠へはやや険しめの峠道を越えて、おだやかな田舎道を抜けます。バイクは車に比べて軽い分加速が良いため、峠道は大抵車よりバイクのほうが速いのですが、上りではGB350のパワーの無さがネックになりちょくちょく詰められます。道を譲るのは構わないのですが、こまめに後方をチェックしながら走るのも面倒で、峠道での振る舞いはなかなか定まりません。

 高遠城は武田方の城として織田の大軍勢に逃げずに立ち向かい、蹂躙され落城した歴史を持ちます。また日本100名城のひとつであり、100名城のなかではおそらく最も評価の低いであろう城です。

 個人的にこの城のよくないと思うところは、特にこの廃棄された料金所。そして(庭師さんたちが手入れしているにも関わらず)妙に雑草の生い茂る城内は、縄張りの形が見づらいです。天下第一の桜と謳われるように春には良い名所ですが、春以外の季節はおすすめしかねますね。

 我らがヒーロー保科正之公の像があってテンション上がります。寡聞にして存じ上げませんでしたが、会津藩祖こと保科正之公はもともと高遠城主だったということです。こんなところでお目にかかるとは・・・。

 高遠で100名城スタンプを押してから来た道を戻ります。

 峠道のカフェの展望台を覗いていきます。諏訪湖と諏訪の町を一望!諏訪の町はみっしりと詰まっていますね。

 諏訪に戻ったら上諏訪神社・本宮へ参ります。本宮は春宮とはくらべものにならないほど大きいです。さすがは勝者上諏訪

 敷地内には途中に長い廊下があり、絵になります。本殿も立派立派。

 江戸時代の人気相撲取りを象った像がありました。手がとんでもなく大きい。

 

 次は諏訪湖に行って初島神社を見ます。諏訪湖花火大会で花火の打ち上げポイントになっている小島です。諏訪湖の周りは歩道になっていてランニングしている方も多いです。まだまだ日暮れには時間があるので、諏訪湖をバイクで一周していきます。峠道のカフェでコーヒー飲んでくればよかった。

 諏訪湖周辺には温泉が多いですね。3枚目は間欠泉。夕焼けの諏訪湖はどこから見ても美しいです。

 

 3泊目の今夜はビジネスホテル ルートイン上諏訪にチェックイン。キャンプ泊が連続すると疲れると予想していたのと、コインランドリーを使うために予約していました。部屋で道具を整理したりライトを充電したり、こまごまと作業をします。ひっくり返したシートバッグの中からヒルが出てきたときはゾッとしました。巣栗キャンプ場は鬱蒼としていたから・・・キャンプ場で肌を出さないように一層気を付けます。

 荷物が重い気がしていましたが、どうもタオルや衣服、テントが濡れたことでかなりの重量増になっていたようです。あんまり重いと運転にも影響が出ますし、シートバッグを手で運ぶのもつらいです。旅行中のタオルの扱いについて考えなくては。

 ホテルに大浴場がありますが、せっかくなので向かいにある片倉館の千人風呂へ行きます。
 片倉館は明治に絹で大儲けした資産家が、海外の「資産家が町の福祉にお金を使う」文化に感銘を受けて建てた銭湯だといいます。浴場は欧州風の立って入れるプールのような深さで、映画「テルマエ・ロマエ」にも登場したそうです。あのシーン日本だったんですね・・・。立って入る形式なので、ぎちぎちに詰めれば1000人は無理でも200人近く入れそうです。風呂の底に玉砂利が敷かれているのがポイント。

 宿に戻って寝ます。ひさしぶりのベッドは両腕を伸ばせてぐっすり眠れました。④に続く。